Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内における2020年プロ野球春季キャンプの経済効果

【要 旨】

・2020年の沖縄県内におけるプロ野球春季キャンプの経済効果は、121億6,800万円となり、2019年の141億3,100万円を下回った。

・延べ観客数は、約35万4,000人となり、前年より約5万4,000人減少した。オープン戦が前年と比べて6試合多い13試合行われたほか、例年より降水量が少なく天候に恵まれたが、全国的に新型コロナウイルスが感染拡大しつつある状況が反映した。球団は感染症対策としてファンサービスの自粛を行ったほか、観客に対して練習試合、オープン戦の際のマスクの着用やアルコール消毒の呼びかけ、ジェット風船による応援の自粛要請などを行った。こうした対応を受け、観客にも徐々に自粛ムードが広がった。

・観客数のうち県外からの観客は約8万3,000人と推測され、前年より約9,000人減少した。

・今年の経済効果は、前年と同じ球団数でのキャンプ実施であったが、観客数の減少や県外からの観客減少による宿泊費や飲食費、土産・グッズ購入費の減少などから減少となった。

・今年の経済効果を産業別に多い方からみると、宿泊業が26億4,100万円、飲食サービス(飲食店など)が15億5,400万円、商業が14億900万円などの順であった。

・プロ野球春季キャンプは、観光のオフシーズンに多くの観客や関係者が来沖し消費活動を行うことから、県経済に与える影響は大きい。春季キャンプでは選手と観客との距離が近く、ファンサービスは大きな魅力の一つとなっている。今後はコロナ禍での対応を前提としたキャンプの継続実施や観客数および県内消費額の増加に向けた取組みが必要である。県や市町村、民間が連携して受け入れ態勢を整備するとともに、地域活性化に繋げる仕組みづくりがますます重要となっている。

・プロ野球春季キャンプをはじめとしたスポーツ産業は、観光需要の平準化において重要な産業であり、県経済の活性化に向け期待される役割は大きい。

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