Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2019年の回顧と2020年の展望

【2019年の回顧】

~ 国内経済は緩やかな回復となり、県内経済は緩やかな拡大となる~

○国内経済は、企業収益の好調、雇用情勢の改善が続き、個人消費と企業の設備投資に持ち直しの動きがみられたが、10月の消費税率引き上げがあり、全体として緩やかな回復となった。

○県内経済は、消費関連、観光関連が概ね好調となり、建設関連は概ね好調に推移したことから、全体として緩やかな拡大となった。

○個人消費は、概ね好調に推移したが、10月の消費税率引き上げ以降は、駆け込み需要の反動などから弱含む動きとなった。百貨店・スーパー売上高は、駆け込み需要の反動がみられたものの新設店・改装効果などから、全店ベースでは前年を上回った。耐久消費財では、新車販売は、レンタカーの減少や駆け込み需要の反動などから前年を下回った。家電卸売は、白物家電の好調や駆け込み需要などから前年を上回った。

○建設関連は、公共工事では国、県の発注工事が減少したものの引き続き高水準であり、民間工事では宿泊施設や社屋などの建設投資が多くみられ、全体では概ね好調に推移した。

○観光関連は、概ね好調に推移した。入域観光客数は国内客、外国客ともに増加し好調な動きとなった。主要ホテルは宿泊客室稼働率、売上高がそれぞれ前年を下回った。観光施設は前年を下回り、ゴルフ場入場者数は前年を上回った。

○雇用情勢は、単月の有効求人倍率(季調値)が本土復帰後最高値を更新(1.23倍)し、完全失業率も低下したことから改善が続いた。また、企業倒産は、県内景気の拡大基調を背景に企業の業績が上向き、件数は低水準で推移した。

【2020年の展望】

~ 国内経済は回復が足踏みとなり、県内経済は拡大の動きに一服感~

○国内経済は、東京オリンピックの開催に期待は集まるものの、駆け込み需要の反動などで内需は鈍化する一方で、外需も米中貿易摩擦や日韓関係の悪化、中東情勢の不安定化で本格的な回復には時間を要することから、回復は足踏みとなろう。

○県内経済は、消費関連はキャッシュレス・消費者還元事業が6月末に終了することから、もう一段の下押しが加わろう。観光関連は入域観光客数は国内客、外国客の伸び悩みが懸念され、伸び率は鈍化して堅調な推移となろう。建設関連は公共工事は高水準を維持し、民間工事は手持ち工事額水準が高いため、概ね好調となろう。全体として拡大の動きに一服感がでよう。

○個人消費は、前半は消費税率引き上げの影響から耐久消費財の回復に時間を要し、後半はキャッシュレス・消費者還元事業の終了で、もう一段の下押しが加わることから横ばいとなろう。

○建設関連は、公共工事では高水準を維持し、民間工事では新規受注は徐々に鈍化するものとみられるが、既に受注した手持ち工事額の水準が高いため、全体では概ね好調な動きとなろう。

○観光関連は、堅調となろう。国内客は消費税率引上げ後の節約志向の強まりを受けて伸び悩むことが懸念される。外国客は日韓関係の悪化や香港情勢の混乱などから伸び悩むことが懸念される。よって、入域観光客数全体としては前年より伸び幅は鈍化することが見込まれる。

 

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