Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内のレンタカー業界の動向について

 要旨

・沖縄県内のレンタカー事業者数は、2007年度の290社から2017年度には703社と、10年間で約2.4倍に増え、事業者の増加ペースは加速している。

・レンタカー事業は参入障壁が低いことから、宿泊業や自動車販売業、自動車整備業などでも兼業でレンタカー事業を営んでいる事業者や、中古自動車を調達してレンタカー事業を始める個人事業主などの新規参入も増えている。

・レンタカー事業者が増加している要因として、入域観光客数の増加と、外国客の交通手段の変化および旅行形態の変化によるレンタカー需要の増加などが挙げられる。

・レンタカー業界は、事業者数や車両数が順調に増えている一方で、様々な課題が顕在化している。レンタカー利用者からみた課題は、レンタカーの貸渡し手続きに時間を要していることである。対応策として、送迎バスの乗り場の拡充と待機スペースの整備、観光客の分散化などが挙げられる。

・レンタカー事業者からみた課題としては、レンタカー事業者の増加による価格競争の激化や、人手不足、外国人利用者への対応、などが挙げられる。レンタカー事業者には、レンタカー利用者の安全を確保するとともに県民も安心して過ごせるよう、適正なサービスの提供と適正な価格設定を行うことが求められる。また、禁止行為とされている、那覇空港構内でのレンタカーの貸渡し・返却を行う一部の事業者については、行政や公的機関も関わって取締りを一層強化する必要がある。

・人手不足の対応策としては、営業所での受付や返却手続きをスマートフォンアプリやタブレット端末などで行えるようにすることが挙げられる。ペーパレス化による長期的な経費削減効果や省力化、生産性の向上が可能になると思われる。外国人労働者の活用も対応策の一つとなるだろう。

・今後ますます外国客の増加が予想されるため、外国人のレンタカー利用者の立場に立った環境の整備とサービスの向上に取り組むことが重要となる。標識などの環境整備には、財源として観光目的税の活用やレンタカー税の導入などの議論が深まることが求められる。

・レンタカー業界の課題解決は、県内を訪れる観光客の満足度向上だけではなく、レンタカー事業者の経営を安定させ、県民の観光業に対する意識を向上し、ひいては観光業をリーディング産業と位置付ける沖縄県経済の活性化に繋がると考えられる。

・行政や地域、民間企業などが連携して、県内の観光産業に係る課題解決に取り組み、観光立県にふさわしい魅力的な交通基盤を構築していくことが望まれる。

 

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