Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

欧・米・豪・露からの外国人観光客の誘致について

要旨

・国連世界観光機関(UWNTO)の世界観光指標によると、国際観光客到着数は、2010年より毎年増加しており、2017年は13億2,600万人、18年は14億人に達し、今後も堅調に増加するとみられる。

・観光収入額は、米国が最も大きく、上位10国・地域のなかに、アジアではタイ、マカオ、日本がランクインしており、観光支出額は、中国が最も大きく、上位10国・地域のなかに欧・米・豪・露市場の国が8カ国入っている。

・日本を訪れる外国人旅行者は、上位10国・地域のなかで、アジア以外の国では米国、豪州がランクインしているが、タイを訪れる旅行者の上位10国・地域と比較すると、欧州からの割合が低い。

・タイを訪れる欧・米・豪・露からの観光客と沖縄へ訪れる外国客(空路)の1人1日当たりの観光消費額を比較すると、宿泊費や土産・買物費が沖縄を下回った。一方で、娯楽・入場費は沖縄を上回った。

・タイのビーチリゾートを訪れる欧・米・豪・露からの観光客は、約10~14日滞在するが、日中はプールサイドやホテル近くのビーチでゆっくり休暇すること(バケーショナー)がメインとなるため、いかに快適にゆっくり過ごせるかがポイントとなる。

・長期滞在者は、消費する機会が宿泊費や飲食費、娯楽・入場費などに限られてしまう傾向があるため、受け入れに際しては、ホテル内でのアクティビティの開催や料理教室など追加的な消費を促がす仕組みを意図的に作らなければならない。

・沖縄は多言語コンタクトセンターの開設など言語面の整備状況はかなり充実しており、今後は、サポートツールの使用方法の周知と積極的な活用が必要とみられる。

・アクセス面の拡大のために国際直行便や格安な国内便の拡充が必要である。また、増加する観光客の分散化のため、ビーチリゾート専用バスの運行や、ビーチリゾートに近い本島北部に空港を建設するなどの検討が必要である。

・ホテル周辺の飲食店については様々な宗教、人種に対応した料理やミシュラン星を獲得したプレミアムなレストランなどが立地していることが必須なことから、ビーチリゾートが多く集まるエリアに、公的機関の施策により、対応した飲食店の立地を誘導することも一案である。

・沖縄は「見る観光」や「体験型」の観光メニューは充実しているものの、長期滞在者向けのメニューや整備がまだ少ない。

・沖縄を代表するような長期滞在者向けナイトコンテンツの開発が必要である。

・プロモーションの方向性については、欧・米・豪・露からの観光客に沖縄でも彼らの旅行スタイルにあった過ごし方ができるということを効果的に発信することが重要である。

・沖縄観光推進ロードマップで将来の観光ビジョンは示されているが、世界的な観光需要の増加がみられるときに、沖縄の将来の観光ビジョンの具体化やオーバーツーリズムの問題に取り組むことが重要である。

 

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