Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2018年の回顧と2019年の展望

要旨

【2018年の回顧】

~ 国内経済は回復を続け、県内経済は拡大の動きが強まった~

○国内経済は、企業収益の好調、雇用情勢の改善が続き、個人消費と企業の設備投資に持ち直しの動きがみられたことから、全体として回復を続けた。

○県内経済は、消費関連、観光関連が好調に推移し、建設関連も概ね好調に推移したことから、全体として拡大の動きが強まった。

○個人消費は、好調な動きとなった。百貨店・スーパー売上高は、新設店・改装効果や訪日外国人による消費の伸びなどから好調に推移した。耐久消費財では、新車販売は、堅調な自家用車需要や好調なレンタカー需要により普通自動車、軽自動車ともに増加したことから前年を上回った。家電卸売は、洗濯機は増加したものの、太陽光発電システムや夏の季節商品であるエアコンが減少したことなどから前年を下回った。

○建設関連は、公共工事は国の発注工事が増加したことなどから堅調に推移し、民間工事は住宅着工が前年を上回り引き続き高水準を維持したことから、全体では概ね好調に推移した。

○観光関連は、国内客、外国客ともに増加し、入域観光客数は好調な動きとなった。主要ホテルは宿泊客室稼働率、売上高がそれぞれ前年を下回った。観光施設、ゴルフ場入場者数も前年を下回った。

○雇用情勢は、単月の有効求人倍率(季調値)が本土復帰後最高値を更新(1.25倍)し、完全失業率も低下したことから改善が続いた。また、企業倒産は、県内景気の拡大基調を背景に企業の業績が上向き、件数は低水準で推移した。

【2019年の展望】

~ 国内経済は回復を続け、県内経済は拡大の動きは緩やかとなる~

○国内経済は、米中貿易摩擦の影響で輸出は鈍化するが、雇用情勢が改善して個人消費の持ち直しが継続し、設備投資の持ち直しも継続することから、全体として回復が続くことが見込まれる。

○県内経済は、消費関連は10月の消費税引き上げ後は弱含みとなり概ね好調になるとみられ、観光は春の10連休は海外旅行需要を喚起することや消費税引き上げの影響で概ね好調となるとみられる。建設関連は公共工事が前年度同水準で大型工事に一服感がみられることから、堅調となろう。全体として拡大の動きは緩やかとなろう。

○個人消費は、小売業の新規出店や耐久消費財の買い替え需要、消費税引き上げ前の駆け込み需要などにより前年を上回ると見込むも、消費税引き上げ後は弱含みとなり、全体としては概ね好調な動きとなろう。

○建設関連は、公共工事は大型工事に一服感がみられ、民間工事は建築単価の上昇や消費税引き上げなどから住宅投資は減少するが、観光関連の建設投資は増加が見込まれ、全体では堅調な動きとなろう。

○観光関連は、概ね好調となろう。景気回復や外国客の旺盛な旅行需要などを背景に入域観光客数は前年増が見込まれるが、春の10連休が国内客の海外旅行需要を喚起することや、10月の消費税引き上げの影響で、伸び率の鈍化が予想される。

 

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