Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

ハワイの観光と沖縄

要旨

・ハワイは2017年まで入域観光客数と観光消費額が6年連続で過去最高を記録している。沖縄も入域観光客数が5年連続、観光消費額は4年連続で過去最高となり、両地とも観光が絶好調である。
・沖縄は2017年の入域観光客数がハワイとほぼ肩を並べたものの、観光消費額はハワイの約4割にとどまる。
・ハワイでは好調な観光が、道路や街中、観光客の立ち寄り先の混雑がひどくなっているという印象を高め、住民の観光に対する満足度が低下している。
・ハワイ州のDMOであるHTA(ハワイ州観光局)は対応を迫られており、対応の方向性は、オアフ島ホノルル市および周辺地域からその他の島々への観光客の分散である。
・中部太平洋に位置し「どこからも遠いハワイ」と比較すると、沖縄はアジアという巨大な観光の需要地に近いという大きな優位性を持っている。
・需要地に近い沖縄の観光は、アジア方面からの観光客の滞在日数が比較的短い傾向にあるという特徴を持つ。一方、沖縄の観光客1人1日当たりの消費額はハワイと大差ない。また、1日当たりの観光客数の比較から、沖縄はまだ観光客の受け入れ余地がある。
・沖縄は、より大きな観光消費額を得るには、より多くの観光客を受け入れる必要があり、航空機や船舶といったより大きな旅客輸送能力が必要な観光地といえる。旅客輸送能力の不足は、将来の観光客数の抑制ひいては観光業による沖縄経済拡大の効果をそぐことにつながりかねない。
・沖縄島の北部地域にLCC専用空港を造ることを提案したい。北部地域におけるLCC専用空港は旅客輸送能力の拡大のみならず、那覇から中北部へ移動する際の陸上交通への負荷を軽減するという分散効果を持ち、航空機事故等による滑走路閉鎖といった万が一の際の相互のバックアップとしても機能するという利点も見込める。
・沖縄においても、現在ハワイが直面しているオーバーツーリズムへの対応が重要となり、広域連携DMOのOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)の役割が大きくなる。OCVBの適切なコントロールにより観光客の分散をはかり、受け入れ能力を最大限に拡大したい。

 

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