Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

女性の労働力について

要旨

○昭和61年に男女雇用機会均等法が施行されて今年で25年が経つ。この25年間で全国、沖縄ともに女性の社会進出が進んだが、女性の労働力がどのように変化したのか、実際の数量データを基に全国と沖縄を比較しながら考察する。

○全国、沖縄の女性の年齢階級別労働力率は、出産・子育ての中心時期となる30代に労働力率が低下するM字型を描いている。労働力率は昭和61年~平成22年と進むにつれほぼ全ての年代において上昇し、特にM字型の底である25~29歳(昭和61年と平成22年の差、全国+22.6ポイント、沖縄+20.3ポイント)、30~34歳(同、全国+17.8ポイント、沖縄+25.0ポイント)が上昇している。また沖縄は全国とは異なり35~39歳も上昇しており、欧米のような台形型に近づいている。

○全国の男女別失業率は、平成10年以降は女性が男性を下回っている。沖縄の男女別失業率は、平成3年を除いては女性が男性を下回っており全国よりも男女差が大きい。全国、沖縄ともに女性の失業率が男性を下回っている要因としては、女性の就業しやすい第三次産業(医療、福祉、サービス業など)の雇用環境が第二次産業(製造業や建設業など)より堅調なことや非正規雇用の女性が増加したことなどが考えられる。

○全国の女性の平均給与額(平成22年)は227.6千円、平均勤続年数(同)は8.9年となっている。沖縄の女性の平均給与額は192.5千円、平均勤続年数は7.0年となっており、ともに全国よりも少ない。沖縄の女性の平均給与額は全国を下回っているが、それぞれの男性を100とした女性の給与水準においては沖縄が全国を上回っている。沖縄は給与の男女差が小さいことから女性の労働力が家計に果たす役割は全国よりも大きいと考えられる。

○沖縄の男女別就業形態は、男性は正社員の割合が最も大きく、女性はパートの割合が大きい。沖縄の企業規模別育児休業制度の有無は、企業規模が大きくなるにつれ制度が有るとする割合が大きくなる。県内企業の多くは小規模であることを踏まえると、育児休業制度を導入している企業はそれほど多くないと考えられる。

○男女雇用機会均等法の施行以降、全国、沖縄ともに女性の労働力は徐々に向上している。沖縄は男性の失業率が高く給与水準も全国で最も低いことから、全国以上に女性の労働力市場に与える影響は大きい。沖縄の女性の労働力向上は家計にとって大きな下支えとなり、ひいては県経済の発展に繋がるだろう。

 

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