Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2011年の回顧と2012年の展望

要旨

【2011年の回顧】

~ 国内経済は持ち直しの動きが鈍化し、県内経済は終盤持ち直しの動きが強まった~

○国内経済は、東北大震災後の急激な景気後退局面から夏場の電力供給制約問題を乗り越え、サプライチェーンの復旧に伴う急回復局面を経て、終盤には急回復一巡により持ち直しの動きが鈍化した。

○県内経済は、震災後に観光が弱くなったことから後退しつつあったものの、観光が修学旅行の沖縄への振替需要の増加から持ち直しの動きとなったことから、終盤には持ち直しの動きが強まった。

○個人消費は、耐久消費財はエコ関連の政府施策が終了したことなどにより減少したが、百貨店・スーパー売上高は食料品などが増加したことから底堅く推移し、新設店効果などから一部に堅調な動きがみられた。

○建設関連は、民間工事は企業の建設投資の減少により前年を下回ったものの、住宅着工が増加したことから、弱含みの中、一部持ち直しの動きとなった。

○観光関連は、東日本大震災後は入域観光客数が減少し弱い動きとなったが、その後、入込客数が回復基調となったことから、終盤にかけて持ち直しの動きとなった。ホテルは、販売客室数、客室単価が前年を下回り、宿泊収入が減少した。観光施設、ゴルフ場の入場客数は前年を下回った。

○雇用情勢は、失業率は改善傾向にあるものの、就業者数は減少し求人倍率は低下していることから一部に弱い動きがみられた。企業倒産は、景気対応緊急保証制度が終了したことなどから件数、金額ともに前年を上回った。

【2012年の展望】

~ 国内経済は緩やかな回復基調となり、県内経済は引き続き持ち直しの動きが強まろう~

○国内経済は、海外経済の減速や円高による輸出の低迷、デフレ下での賃金の伸び悩みから年明け後しばらくは減速気味に推移しようが、その後は復興需要の高まりとともに緩やかな回復基調となろう。

○県内経済は、消費がエコカー補助金の復活などから堅調な動きとなり、建設も公共工事の増加が見込まれることなどから持ち直しの動きとなり、観光関連が外国客の増加から持ち直しの動きとなることから、前年終盤に強まった持ち直しの動きが持続しよう。沖縄振興予算の執行状況いかんでは後半に緩やかな回復基調となることが期待される。

○個人消費は、百貨店・スーパー売上高は食料品を中心に底堅く推移し、エコカー補助金の復活などから新車販売が増加し全体としては堅調な動きになるものとみられる。

○建設関連は、民間工事が企業の建設投資が引き続き弱含むものとみられるものの、住宅着工が底堅く推移し、公共工事の予算の増加が期待できることから、全体としては持ち直しの動きとなるものと見込まれる。

○観光関連は、外国客の大幅な増加が期待されることなどから入域観光客数が増加し、持ち直しの動きが続こう。ホテルの稼働状況は改善が見込まれるが、客室単価が回復するまでに、なお時間を要するものとみられる。

 

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