Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

2016年度の沖縄県経済の動向

(1)概況

 2016年度の県内景気は、観光関連は入域観光客が過去最高と好調に推移し、消費関連は催事効果や店舗新設・改装効果、外国人観光客の増加などから好調に推移した。建設関連は、民間工事は非居住用が前年を下回ったものの、公共工事の増加があり、概ね好調に推移した。全体では引き続き拡大の動きが強まって推移した。
 個人消費関連は、好調な動きとなった。百貨店・スーパー売上高は、催事効果や店舗新設・改装効果、外国人観光客の増加などにより前年度を上回った。耐久消費財では、新車販売台数は普通自動車が好調なことなどから前年度を上回ったものの、電気製品卸売販売額はAV機器の販売額減少や外国人観光客の需要減少などから前年度を下回った。
 建設関連は、公共工事が沖縄振興予算の増加があり、空港関連や市町村発注の大型工事の増加などから前年度を上回った。民間工事は、新設住宅着工が好調に推移し、非居住用は企業の設備投資減少などにより前年度を下回って推移したものの、建設全体では概ね好調に推移した。
 観光関連は、外国客の旺盛な旅行需要を背景に入域観光客数が増加し、主要ホテルの稼働状況も前年度を上回り、好調に推移した。入域観光客数は、国内客、外国客ともに増加し、年度では876万人と前年度を大きく上回った。県内主要ホテルは、入域観光客数の増加から稼働率、売上高、宿泊収入、客室単価いずれも前年度を上回った。主要観光施設入場者数は前年度を上回ったが、ゴルフ場入場者数は前年度を下回った。

(2)消費関連

 個人消費は、好調に推移した。
 百貨店売上高は、催事効果や外国人観光客の増加などから、食料品、雑貨などが好調に推移し2.0%増と前年度を上回った。スーパー売上高(既存店ベース)は、食料品は飲料や青果、行事関連商材などが好調だったことなどから増加、衣料品は気温が高く推移し夏物衣料が好調だったことなどから増加、家電や化粧品を含む住居関連も改装効果や外国人観光客による消費の伸びなどから増加し、全体では同2.4%増と前年度を上回った。全店ベースでも、新設店効果などから同2.7%増と前年度を上回った。
 耐久消費財では、新車販売台数は、軽自動車で軽自動車税引き上げ(2015年4月)以降鈍い動きが続くものの、普通自動車で新型車投入効果やレンタカー需要が好調なことなどから増加し、同5.7%増と前年度を上回った。電気製品卸売販売額は、エアコンや白物家電は伸長したものの、テレビを含むAV機器の販売額減少や外国人観光客の需要減少などから同0.1%減と前年度を下回った。

(3)建設関連

 建設関連は、公共工事が空港関連や市町村の大型工事などから前年度を上回った。民間工事は、分譲住宅、貸家などの新設住宅着工が好調で前年度を上回り、非居住用は企業の設備投資の減少などにより前年度を下回ったものの、全体では概ね好調に推移した。
 公共工事請負金額は、沖縄振興予算が前年度より増加し、また、滑走路増設やターミナル施設建設などの那覇空港関連工事や、市町村発注の工事が増加したことから、前年度比4.2%増となった。発注者別にみると、国、県は前年度を下回ったが、市町村、独立行政法人等・その他は前年度を大幅に上回った。
 建築着工床面積は、貸家などの住宅建築の需要増により、居住用は前年度を上回ったが、非居住用は前年度を下回ったことから、全体では同0.8%減となった。新設住宅着工戸数は、貸家、分譲住宅が前年度を上回り同2.6%増となった。前年度に引き続き、貸家の建築需要増などから着工数は1万6,488戸と高水準であった。
 建築受注額は、高水準で推移するも、公共工事、民間工事ともに減少したことから同11.1%減となった。
 建設資材関連では、セメントは公共工事向け出荷の減少などから同4.0%減となり、生コンも同7.7%減と前年度を下回った。また、鋼材は受注現場の進捗が鈍かったことなどから同2.8%減となり、木材も同6.1%減とともに前年度を下回った。

(4)観光関連

 観光関連は、海外航空路線の拡充やクルーズ船寄港回数の増加などから入域観光客数が増加し、主要ホテルの稼働状況も前年度を上回り、好調に推移した。
 入域観光客数は、前年度比10.5%増の876万9,200人となり、初の800万人台となり4年連続で過去最高を更新した。国内客は、同6.0%増の664万100人となった。外国客は、旺盛な旅行需要を背景に、同27.5%増の212万9,100人となり初の200万人台となった。県内主要ホテルは、稼働率は入域観光客数の増加により前年度を上回って推移し、80.3%と同1.3%ポイント増となった。売上高も、同3.6%増となった。那覇市内ホテルは、稼働率は同0.1%ポイント減となったが、売上高、宿泊収入、客室単価は前年を上回った。リゾートホテルは、稼働率、売上高、宿泊収入、客室単価いずれも前年を上回った。主要観光施設入場者数は同3.4%増となった。ゴルフ場入場者数は、県外客は増加したものの、県内客が減少したことから、同0.2%減となった。

(5)その他

 雇用情勢をみると、就業者数は、卸売業、小売業などで減少したものの、医療、福祉、製造業などで増加し、失業率(速報値)は4.2%と前年度比0.7%ポイントの改善となった。新規求人数は同7.1%の増加となり、有効求人倍率も1.00倍と前年度(0.87倍)を上回った。
 企業倒産は前年度比14件減の47件となった。景気拡大を背景に中小企業金融円滑化法などの金融支援の効果が持続していることなどから、件数は過去最少を記録した。業種別では、サービス業14件(同7件増)、建設業10件(同15件減)、小売業7件(同1件増)などとなった。負債総額は51億1,800万円で、大型倒産は2件減少、大口倒産は15件減少し、同52.7%の減少だった。
 消費者物価(総合)は、光熱・水道費などは下落したものの食料などの上昇により、前年度比0.2%上昇した。
 広告収入(16年4月~17年2月累計)は、前年度同期比0.5%の減少となった。

 

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